2026年7月30日
【症例紹介】予後30年 私の「症例第1号」である母(81歳)の歯が教えてくれたこと
「一度治療した歯は、一体どれくらい持つのだろう?」

治療完了した患者様から、このようなご質問をよくいただきます。
今回は、私自身の原点であり、現在81歳になる私の母のレントゲン写真とともに、1本の歯が辿った30年間のリアルな経過をご紹介します。
1.大学6年生、初めて手掛けた「症例第1号」
このレントゲン写真は、私が大学6年生の臨床実習の際、インストラクター(指導医)指導のもとで治療した「私にとって正真正銘、人生最初の根管治療(歯の神経の治療)」の歯です。
患者は、私の母でした。
当時、母の歯の再根管治療(やり直し)を私が担当することになり、緊張の中一本の根管(神経の管)と向き合った日のことを今でも鮮明に覚えています。
2.30年目のレントゲンと、率直な振り返り
現在の高度なマイクロスコープや、最新の機器を備えた視点から当時のレントゲンを振り返ると、臨床家として技術的に「もっとこうできたのではないか」と思う部分は多々あります。美しさだけを誇れる治療ではなかったかもしれません。
しかし、この歯は治療から30年が経過した今も、何一つトラブルを起こすことなく、81歳になった母の生活を力強く支え続けています。
3.なぜ「30年間」も持ち続けることができたのか?
どれほど精密な根管治療を行っても、それだけで歯が一生保証されるわけではありません。
この1本の歯が30年持ち続けた理由は、治療は勿論ですが、治療後の「かみ合わせの力と細菌感染のコントロール」にあります。
以降私自身が30年間、母の口腔内において以下の3つを徹底的に管理・コントロールし続けてきました。
咬み合わせ(咬合)のバランス調整:特定の歯だけに過度な力がかからないよう微調整を重ねる。中心位咬合を保つ(言葉が専門的なので後にわかりやすい記事を書くつもりです。)
歯周病のコントロール:土台となる骨と歯茎の健康を定期メンテナンスで維持する。
新たな虫歯(二次う蝕)の早期発見・予防:人工の歯の隙間からの新たな虫歯を予防。歯磨きと食生活指導。
「精密な根管治療と修復」という土台の上に、「適切なメンテナンス」が組み合わさって初めて、歯は30年という長期間、機能を維持することができるのです。
まとめ:自分の家族にできる治療を、目の前の患者様へ
「他院で抜歯と言われた」「治療したはずなのに何度も痛む」とお悩みの方は少なくありません。
私が症例第1号である母の歯を30年間守り続けてきたように、当院ではすべての患者様に対して**「自分の大切な家族ならどう治療し、どう守っていくか」**という想いで治療とメンテナンスに向き合っています。
一度治療した歯を1年でも長く、10年、20年、30年と持たせるために。
「もう残せないかもしれない」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。
【医療広告ガイドラインに基づく症例情報の表示】
治療内容:再根管治療(感染根管治療)およびその後の定期メンテナンス(咬合調整、歯周病管理、虫歯予防)
治療期間・経過:初回治療より約30年経過(予後観察中)
費用:当院での精密根管治療後の修復は自費診療(保証制度あり)となります。詳細は料金表をご確認ください。
リスク・副作用:根管治療は歯の保存を試みる治療ですが、解剖学的形態や破折の有無により100%の成功を保証するものではありません。また、歯牙の破折や適切なメンテナンスを怠った場合、二次虫歯や歯周病の進行により歯の寿命が短くなるリスクがあります。
日本歯内療法学会専門医
歯科すやま 陶山公一